概算見積で、素早く対応

必要なのは概算見積、そしてスピード

見積を依頼されることは受注に向けた第一歩です。
だからといって、時間をかけて精確な金額を出そうとするのは悪手です。無料の見積業務に、余計なコストをかけることになるからです。むしろ、概算見積をして、素早く対応するのが得策です。

概算見積とは

概算見積とは、商品やサービス提供者が細かい条件が不明な場合、おおよその金額で提示する見積書のことです。
ですから、金額が多少増減することを前提にします。

あえて言えば、不正確な金額です。なので、見積依頼者には概算見積であると断っておく必要があります。

では、概算見積のような不正確な金額で、見積依頼者は納得してくれるでしょうか?

概算見積で、見積依頼者に納得してもらうことは可能だと、筆者は考えます。

さらにいえば、見積作成者は専門家なので、専門家の立場で、見積依頼者に、概算見積を使って案件を解説してもいいと思います。
見積を無料で行うのであれば、できるだけ手間をかけずに、すなわちコストをかけずに作成するのは理にかなっています。

そもそも、見積依頼者が見積を必要とするのは、求める商品やサービスを購入するための予算取りをしたり、稟議書を作成して、上司や他部署を説得したりするためだったりします。

そこを通過してから、初めて商談がスタートするというのは、かなり一般的ではないでしょうか。

一個人が見積を依頼するときも、考え方は変わりません。
購入する前に、おおよその金額を知っておきたいというのは誰しも考えることです。
どうしても、精確な金額が必要ならば、契約直前に決めればいいのです。

だから、初期対応としては、概算見積で十分なのです。
精確な金額にこだわるあまり、見積条件のあいまい箇所をあれこれ問い返したりするのは、場合によっては、見積依頼者の仕事にブレーキをかけることにもなりかねず、好ましくありません。

見積書に金額以外のアピールポイントを盛り込む

見積依頼者はとかく、見積金額ばかりに気を取られがちです。
安さが"ウリ"の業者でない限り、これは、見積作成者を悩ませる問題です。
対応法としては、見積に金額以外のアピールポイントを盛り込むことです。

たとえば、納期。
加工製造の現場では、どの業者も、材料の仕入れ → 加工製造 という手順は同じなので、往々にして似たような納期になります。
そんなとき、納期が格段に早かったりすると、かなり目立ちます。

よく利用する特定の材料だけストックするなりして、納期を短縮し、その代わり利潤を上げるという方法をとれば、見積金額が上がっても、スピード納品という特長で受注を勝ち取れたりします。

見積金額を上げることに不安なら、スピード納品と普通納品の2パターンを用意しておくという手もあります。

概算見積はプロ向き

概算見積は、商品やサービスの内容がよくわかっているプロ向けの見積方法といえます。
なぜなら、相見積を取ったとき、プロならば概算見積を見比べることで、それぞれの業者の違いに注目し、金額以外の要因を選定の決め手としたりするからです。

いつまでも"素人"のままでいいわけがない

逆に、概算見積が効かない顧客とは、見積書を見ても、見積条件を読まず、読んでも理解せず、金額にしか注意が向かない、いわゆる"素人"です。
では、値引きをするか?
確かに値引きをすれば、その案件は取れるかもしれません。でも、競合も同じことを考え、結局、血みどろの価格競争になり、傷つくことになります。

むしろ、考え方を変えましょう。

ウチの商品・サービスを購入する顧客は、いつまでも"素人"のままでいいわけがない、と。
ちょうど、病人が認知機能に問題がない限り、治療を通じて、自分の病気について知見を深めていくように、顧客は自分が購入する商品やサービスについて十分理解し、使いこなせるようにする必要があるのです。ちょうど、医療者によるわかりやすい解説を受けるように、業者による見積項目の丁寧な説明を受けることによって。

"素人"にも効く自動見積システム

とはいえ、見積書に、見積項目についての丁寧な説明を書いても、人は読んでくれること限りません。
見積条件を理解し、精査するのを面倒がって、価格だけで決定するのが、ふつうです。

ではどうすればいいのでしょうか?

そういう"素人"にも効く見積、それが自動見積システムです。
自動見積システムは、プロ、素人を問わず、顧客が業者のWebサイト上で、商品やサービスの見積価格を算出できる見積システムです。

顧客はWebサイトに示された選択項目を選択し、必要な数量を設定するだけで、たちどころに、見積価格がはじき出されます。
顧客は、何度も条件を変えて見積できます。それによって、商品やサービスへの理解が進みます。

そして、納得する見積書になった時点で、見積書を印刷したり、見積書を付けてお問い合わせを送信したりできます。

まとめ

見積書を書くのに、時間をかけて精確な金額を出そうとするより、おおよその価格を提示する概算見積を素早く作成する方が得策です。
ただし、概算見積は、求める商品やサービスを確保するための予算取りをしたり、稟議書を作成して、上司や他部署を説得したりする必要のあるプロには有効ですが、価格にしか注意が向かない素人には不向きです。
素人には、自社商品やサービスへの理解を深めてもらえる、自動見積システムがお勧めです。