見積もりはタダじゃない。
時間を割いて、専門知識を駆使して、あるいは、あれこれ調べて見積もりをする側からすると、当たり前の話なのですが、見積もりを依頼する側は、「見積もりはタダ」を当たり前のように思っていたりします。
このギャップをどうやって乗り越えていけばいいのでしょうか?
無料見積の弊害
「水回りトラブル解決します。無料見積!」
そんなチラシを見て、業者を家に上げたら最後、あれこれ不具合が指摘され、そのたびに修繕させられ、結局、高くついた -- という話はよく聞きます。
が、じつは、「見積だけの客」はこう対応しよう で例示した様に、見積もりする側も被害を受けることがあります。
最初は、すごはんさんの先輩のエピソードです。
ある印刷会社で、お店に提案したチラシ案を、そのまま別の印刷会社で制作された・・。
—すごはん 見積もりはタダじゃないのよー!だけどお客様にわかってもらえない!そんな時は・・?
おそらく、デザイン案をもとに見積もりをして、そのデザイン案を盗まれたということなのでしょう。
図面から見積しなければならない建築・設計業界も、同様の被害を受けるようです。
某会社なんか「他社さんの図面と見積もりがあれば、そこから◯%値引きして工事しますよ」とかいうゲスもいる。そりゃそうだろうね、製図コストも打ち合わせコストもかからないわけだから。
有料見積
前出の野田さんは
無料で見積もり「するな」「させるな」「応えるな」
と言っています。
とはいえ、野田さんが言っているのは、すべての見積を有料にせよということではなく、大手ハウスメーカーなどが相手のBtoBの場合、見積を不採用にしたとき、「QUOカードなりお菓子なり持参しても良いのではないか」というマイルドな話です。
一方、すごはんさんは、明確に見積の有料化を打ち出し、どうやって顧客を説得するか、を施策を伝授しています。
無料見積と有料見積の2本立て
見積が有料なら、無料見積の業者に依頼するというのが、自然の流れになるかと思います。
ならば、有料見積の前段として、無料見積 = 概算見積を持ってくるというのはどうでしょうか?
「概算見積で、素早く対応」で書いたように、概算見積とは、商品やサービス提供者が細かい条件が不明な場合、おおよその金額で提示する見積書のことです。ですから、金額が多少増減することを前提にします。
概算見積なら、予算取りや上司や他部署を説得するために、およその金額を知りたいというニーズに応えることができます。
いや、もっと詳しく、とか、見積依頼者側が細かい条件を設定する場合は、有料見積で、という2本立てにするということです。
自動見積というトレンド
有料見積となると、今度は、その見積作成価格を巡って競争が起きてしまいそうです。
いや、実際、もう起きています。自動見積というトレンドとして。
たとえば、図面データから必要な部品・材料を自動で読み取り、見積もりを作成できる製造業向けソフトがあったりします。
あるいは、図面をAIで読み取り、見積を作成するクラウドサービスも登場しています。
こうしたサービスは必ずしも無料ではありませんが、打ち合わせの必要がなく、瞬時に見積を作成するので、人力(じんりき)見積の提供者には、脅威となっています。
葬祭業などのサービス業向けには、Webサイト上でサービスの受益者自身が見積できる自動見積システム構築サービスが有効です。
まとめ
見積もりはタダじゃない。無料で専門知識や労力を費やさなければならない見積提供者の怨嗟に近い、悲鳴を聞いてきました。
見積提供者側の主張は、一部見積を有料化せよというものですが、時代は自動見積に突入し、新たな局面を迎えています。